シリーズ                     

「新行革プラン」を斬る


  INDEX

その1 定員・給与について

その9 病院構造改革方策等の見直し(N0.1)

その2 事務事業について

その10 病院構造改革方策等の見直し(No.2)

その3 市町への影響

その11 病院行革(No.3)

その4 組織見直しについて

その12 企画部会案(第二次案)に異議あり

その5 総務省の行き過ぎた指導


その13 公設研究機関の果たすべき役割

その6 業務量と人員配置について考える

その14 県民意識とのギャップの中で
 
その7 「地独法化にメリットなし」 


その15 塚口・尼崎病院の統合を考える。

その8 組織再編を考える


その16 管理運営事項か、労働条件か


その1 定員・給与について

『神戸新聞』11月6日付朝刊の記事を読んだ組合員は、強い衝撃を受けた。
「新行革プラン・企画部会案(第一次案)」について報じた中に「単年度平均で本給の6%相当分をカットする」とする記述があったためであり、県職労・従組両本部は「どこでこんなことが決まったのか」「こういった数字は、どこに記載があるのか」と県当局に対し抗議行動を行った。
 県当局からの説明では、記者からの執拗な質問に対して、「企画部会案の給与の見直しでは、1,600億円の効果額を見込んでおり、その規模は給料月額の6%減額を11年間継続することに相当する」と回答した、とのことであった。
 しかしながら、新聞で報道された内容が職員に及ぼす影響は多大であり、あたかも決定事項であるかのような印象を与えたことは重大な問題であると考える。また手法はどうあれ、2008−2018年度の間に1,600億円の給与抑制効果を県当局が見込んでいることは事実なのだ。
 現在、賃金確定交渉が取り組まれているが、当局は厳しい財政状況を繰り返し強調するのみで、私たちの賃金改善の要求には全く応えようとはしていない。
 企画部会案には、給与の見直しについて、「ラスパイレス指数が全国でも高い水準となっていること等を踏まえ、国の水準を上回る給与について、早急に見直しを行う」といった記述があるが、記載の項目を全て実施すればラス指数は100を大きく下回ることになるのでは、とさえ思われる。
 また、企画部会案には定員の3割削減といった表現が随所に見られるが、果たしてそれで業務に支障が生じないのか大いに疑問である。水防作業時に支障をきたしている土木事務所もすでにあると聞くし、県税事務所では徴収体制の強化が必要であろう。健康福祉事務所は法律を根拠とした業務を行っていることから、業務量削減=人員削減には限界がある。技術職について、計画的な採用を行わなければ「技術の継承」ができないのではないだろうか。定員3割削減と言えば尋常な数字ではない。県下各地にある事務所職員が3割いなくなるのである。「県民からの苦情や相談に、応えたくても予算も人手もない」「難題が生じたときにわかる人が事務所にいない」「許認可など各種申請の処理が今まで以上に時間がかかる」「緊急事態の時に現場に行く職員がいない」などなど。県民の立場から見てもこれは明らかにサービス低下ではないだろうか。
 11月県議会の代表質問で、「職員の賃金を大幅にさげるべき」との発言が相次いだ。質問に関連する県庁各課室ではモニターで質問状況を見ている。職員からは「だったら予算承認してきた議会の責任はないのか」「職員の賃金削減の前に、議員定数3割削減や議員歳費のカットなど、まず自らの襟を正すべき」との意見が出されている。
 今後、県職労は労働条件に関わる問題については、交渉の場で当局姿勢を厳しく質していく。県財政悪化の原因を明確にするとともに責任の所在を明らかにし、「当局にまず責任を取らせる」ことが協議の前提である、と当局に強く迫っていく。
 現在、新行革プランは、広く県民の意見を聞くパブリックコメントを実施している。兵庫県民としての良識ある意見が多く寄せられることに期待したい。

その2 事務事業について

シリーズ第2弾は事務事業の見直しについて触れる。個別の事業については各市町からの県に対する意見書も出されているので、ここでは事務費見直しを中心に分析を進める。
 「神戸新聞」9月11日付記事で今年度620億円の収支不足が報じられた。同時に財政当局からは、行革に先駆けて今年度事務費についても3割削減の指示が出された。年度中途の削減指示はどんな事態を生じさせるか。事務費の内、嘱託などの非正規雇用職員の人件費は、すでに1年分雇用してしまっている。コピー機などのリース料、使用料なども1年契約である。これらが事務費の半分近くを占めるため、残る需用費、旅費などで全体額の3割削減分を捻出しなければならない。あちこちの単独庁舎で庁舎の光熱水費が払えないとの声が聞こえてきた。
 公共事業事務費の関連で、これまで比較的潤沢であった土木事務所でさえ光熱水費が確保できない。ある事務所では地方紙以外の新聞購読を打ち切った。設計図面を複写するロール紙が買えないので、年度末まで在庫分で持たせろと言われている事務所も。「仕事をするなと言っているのか!」と怒りの声。
 健康福祉事務所では全県的に出張旅費の3ヶ月遅配が起こった。切手代がないので近くへの文書は持って行けと言われた。
 県税事務所は「税収確保に全力を挙げろ」と言われる一方で、「旅費がないので出張するな」と言われる。「どないせえっちゅんじゃ!」机の前に座っていて税金が集まるなら苦労しない。
 新行革プランでは事務経費の一律3割削減が謳われている。それがどんな影響を及ぼすかは、予測するまでもなく、すでに始まっている。
 道路などの施設維持管理費は15%削減である。この部分を削られると、住民からの苦情が急増する。苦情電話を受けても「直しします」と言えない。このため応対時間も長引く。職員のストレスはたまるばかりである。
 新行革プラン一次案では、投資事業の検討課題として、「地域経済への影響を考慮し、段階的な縮減を検討」と補足課題がつけられた。職員にとって、これは悩ましい。職員数はドラスティックに削減されて、業務量が緩やかにしか減らないなら、超過勤務時間が殺人的となるのは必至である。さらに新たな施設がつくられる度に、維持管理費は増えていくのである。
 県税収入は昨年実績より約130億円増えている。にもかかわらず収支不足が発生しているのは国策による起債制限によるところが大である。起債制限される主な原因は「震災からの創造的復興」に名を借りた大型ハコモノ行政のツケである。
 まじめに働く職員にシワ寄せされてはたまらない。

その3 市町への影響

シリーズ第3弾は市町への影響について。「新行革プラン(第一次案)」は私たち県職員の労働条件、業務の執行に大きな影響を及ぼす内容であるだけでなく、県民や関係団体などへも様々な波紋を投げかけている。シリーズ第2弾は事務事業の見直しについて触れる。
 とりわけ、県内市町へ及ぼす影響は多大なものがある。「企画部会案」公表の翌日、神戸新聞東播磨版は、県民局の再編に関して「北播の首長からは『きめ細かな行政サービスに対応できるのか』などと不安の声も出た11/6)と報じた。」
 同丹波版は同日、『消える丹波県民局』という衝撃的な見出しで、「雇用や産業などへの影響は大きい。国も含め地方分権といいながら、切り捨ての流れに憤りを感じる」といった地元商工会長の声を載せ、「阪神と一緒になるとは考えていなかった。都市部での県の役割と、丹波での県の役割は農業、土木分野で特に異なるはず」との篠山市長のコメントも紹介した。
 丹波版は、翌11月7日も『生活弱者に厳しさ』といった見出しで、老人医療費助成対象が大幅に見直されることや、小規模作業所への助成打ち切り、スクールアシスタント事業の補助廃止などについて、問題点を指摘する記事を掲載した。
 市町への影響は、補助金の廃止・見直しだけではない。「新行革プラン」に記載されていないが、県から市町への権限移譲も検討されている。市町振興課では、昨年度実施した「ポスト合併期における県と市町のあり方研究会」での提言を踏まえ、県と市町の役割分担、県から市町への権限移譲、県と市町の事務の共同処理のあり方等について、「県・市町会議」及び「県・市町実務者会議」を設け調査・検討を行っており、その一環として市町の意見を聴取している。
 こうした状況から、県市町会は11月17日に行革が県内各市への責任転嫁にならないことなどを求める緊急要望書(@県と市の役割分担を明確化し、市へ事務事業や権限を移譲するときには、同時に必要な財源も措置するA県市協調事業では、各市の状況を踏まえて充分な協議・調整をするB知事と市長会との懇談会を開いて各市の意見を反映させる)を知事に提出した。
 前出の「ポスト合併期における県と市町のあり方研究会」の報告書の中で有識者から提言のあった検討事例は「生活保護」「道路管理」「河川管理」「児童虐待防止対策」の4項目であった。その後県は、町に対して具体的に福祉事務所の設置と生活保護業務の移譲について意見を聴取したが、肯定的な意見は少なく、反対意見が多かったという。当然のことである。ある自治体の担当者は、「県が放漫な財政運営のツケを押しつけたと言われても仕方がない」(11/6読売)と苦言を呈している。
 市町振興課の動きについては、県職労としても見解を質す場を持ち、「次回以降の市町との会議で、業務の押しつけと受け取られるような表現がないよう十分注意する」とのコメントを引き出した。

その4 組織見直しについて

シリーズ第4弾は組織見直しについて触れる。
 20年度は本庁組織の見直し。部の枠組みの見直しと、課、係の大括り化が言われている。どの課とどの課が統合になるとかの具体案は示されていない。このためあまりイメージが湧かないのも実感。それで各課の抱える懸案がなくなる訳でもなし。はっきりわかるのは4月にはまた大規模な引っ越しがあって、大量の段ボールが行き来して、大量の文書の紛失が起こることぐらいか。
 平成11年の前期行革の際に、10部が5部になった。その時、最も混乱が起きたのは部長レクである。部が大きくなり、多くの課の説明を一人の部長が聞くことになり、その時間が取れない。議会中など、連日深夜まで、部長室前に列ができた。職員の側からすれば、レク待ちで作業が止まったまま深夜まで待機するはめになった。「これのどこが行革やねん」。この非効率は翌年以降、徐々に改められ、現在は担当部長も含め実質8部となっている。過ちは繰り返してはいけない。
 地方機関見直しは21年度からである。一次案に示されているのは西播磨と丹波の県民局が統廃合され、総務事務の集約機能を残した支局が設置される案である。
 当該地域の住民からは、県民局がなくなることは、県の機関すべてがなくなるかのようなイメージから「切り捨てられ感」みたいなものがあり、職員からは、業務の流れすべてが遠方の県民局本局を経由するため非効率となる反発が強い。
 県民局傘下の各事務所は、前行革以前はそれぞれ県庁各部の傘下にあった。県民局はあったが各事務所と横並びの様な存在であった。県庁各部は事務所の予算、業務量、人員配置を掌握して県全体のコントロールをしていた。
 現体制では事務職の人事権は県民局から直接県庁人事課という系統となり、部局は掌握していない。予算も一義的には県民局に令達される。業務そのものの指揮系統は従来どおり県庁各部事業課にある。ここに生じる二重構造は県民局と県庁各部両者の無責任体質を生む。
 例えば土木事務所で三六協定時間を超える超勤が発生したとする。超勤時間管理は県民局で部局は把握しない。ところが県民局は業務を減らそうにも、業務の指揮系統は部局にある。
 現地解決型の総合事務所化と謳って県民局再編が行われた。その結果、入札業務にかかる日数は従前より増え、災害復旧の遅れを指摘もされた。他部の幹部が入る審査会を経ねばならず、日程が取れないのも原因の一つ。再編直後、工事業務課では、事務混乱の中、病気になるものや退職者があちこちで出た。過ちは繰り返してはいけない。
 地域の地方機関を全て束ねる県民局長を置いて、地域の県施策を全て掌握しながら施策展開していく、これが県民局の設置思想であろう。ミニ知事の設置である。昔風に言えば但馬の守といったところか。一方で地域には市町長がいる。自ずと市町長を束ねる立場とも見えがちであるが、選挙で選ばれてもいないものがそういう立場をとることは傲慢ではないだろうか。県民局長はあくまで一地方機関の長である。
 議会の中では県民局をなくせといった意見もある。

その5 総務省の行き過ぎた指導

今回は番外編。「新行革プラン」とは直接関係ないが、その背景にある総務省からの「行き過ぎた指導」について問題点を指摘する。
反行革交渉と並行して賃金確定交渉をとりくむ中で、交渉の席上、当局から度々ふれられるのが「総務省からの強い指導」である。その中身は、国の水準を上回る給与制度の是正ということで、具体的には「地域手当」であったり「技能労務職給料表」であったりする。
特に、地域手当については昨年1月末に「総務省が特別交付税の減額対象に地域手当を含めることを検討している」といったニュースが飛び込んできた。その経過については県職労ニュース等でお知らせしてきたので詳細については割愛するが、総務省の見解を要約すれば、 「国の制度を上回って地域手当を支給している団体は財政的に裕福である」と見なされ、特別交付税を算定する際に減額の対象とされる、といったことであった。これに対して、私たちは「労使自治、人事委員会勧告制度の意義、地方自治の本旨などの観点から、特別交付税 の減額は到底認められない」と強く主張し、「国の制度が正しいという前提そのものが誤り」「国の制度を上回っているからと言って、財政的に裕福であるとはならない」と反論した(2007.2.21総務省交渉・要請行動)。
ちなみに今年度、兵庫県人事委員会が「H16年以後H18年までの賃金指数を加えて、本県における地域ごとの支給割合を試算、また市町合併の結果、新たに人口5万人以上となった市についても対象とした結果、阪神地域において、一部、支給割合が変動する結果となることが認められる」として 国の地域手当の支給割合について、一部、疑問を呈しており、「国に準じて地域手当の級地区分を細分化することは、安定的で精確な公民比較を行うという観点からは、問題をはらむものであると考える」と述べ、級地区分を細分化することについても問題有りとしていることにより、私たちの主張は裏付けられたこととなっている。
しかしながら、総務省が国家公務員の支給基準を超えて支給される地方公務員の地域手当の支給額を特別交付税の減額対象とし、起債を許可する条件として財政的なペナルティを課そうとする姿勢は変わっておらず、このことが今期確定交渉における県当局の引下げ提案の背景となっている。
この問題を突き詰めて考えると、「総務省の指導」と「地方自治」「地方分権」とどちらが優先するのかといった議論につながる内容であると思われる。どちらが優先されるべきなのか、は考えるまでもない。国からの行き過ぎた指導は、私たちにとって迷惑なだけのものでしかない。

その6 業務量と人員配置について考える

今年度の人員・職場要求交渉で、新年度、行政職人の削減に加えて、行革のあおりを受けて人にも及ぶ嘱託職員の削減が明らかになった。交渉は紛糾したが、新年度の人員配置に見合う「業務縮減策」の年度内提示を確認し、新年度にかけても継続して追及していくこととなった。財政難のしわ寄せとして目が向けられた嘱託職員削減は、まさに「弱者切り捨て」であり憤りを禁じ得ない。この間も当局は正規職員を削減して嘱託職員を配置してきた。既に職場は非正規職員なしには回らないのが実態である。
関係職場を集めて実施した削減交渉の論点は@正規職員への負担増を可能な限り緩和させること、A削減させる嘱託職員の生活確保の観点から、当局として可能な限りフォローしていくことの点である。前者については、正規職員の業務量削減もあわせて議論しながら、まわらない職場については、日々雇用職員配置も求めてきた。後者については、嘱託職員が主たる生計主で扶養者がいる場合などは、他の嘱託職員としての雇用確保をさせたりもした。

3月になって「業務縮減策」が各部から示された。現段階では職場の反応はあまりない。関心はむしろ、これを受けて異動内示がどうなるかである。

 「業務縮減策」の内容を見て気づいたことがある。なんと無駄な業務をやらせていたのかと思うものが少なからずある。「新規施策」を名目にわざわざ「作らされてきた仕事」である。担当者は心血を注いで取り組むが、本当にそれは県がやるべき業務なのか。財政悪化の原因同様、マンパワーも無駄な支出をしてきたのではないのか。知事は政治家でもあるため、有権者うけのする施策を好む側面は大なり小なり持っている。それにおもねる幹部職員。その下は言いなり。いったい誰がチェックするのだろうか。新行革プランには「庁内自治の推進」も謳われている。「庁内自治」ではなく「庁内民主主義」が問われているのではないだろうか。


その7  「地独法化にメリットなし」


 今年2月に策定された第一次新行革プランには、地方独立行政法人に関する記述が散見される。第二次案に向けた検討項目のうち、病院局の組織に関して「地方独立行政法人制度等のメリット・デメリットについて検証しつつ、他府県病院事業の運営体制の状況も踏まえながら、本県病院事業に相応しい運営形態を検討する」といった表現がある外、試験研究機関や県立大学あるいは企業庁に関する箇所に同制度についての記載が見られる。

なかでも、試験研究機関に関しては、地方独立行政法人への移行について「制度の利点・課題を見極め、移行の可否及び同制度の利点を活かす運営形態のあり方について第二次案に向け検討する」とした上で、「弾力的な法人運営」「透明性の確保と運営責任の明確化」等の利点を掲げると共に、「県の政策と連携した法人運営の困難さ」や「資金調達の制約」等の課題を挙げている。

しかしながら、他の自治体における同制度の実施状況を見た場合、法人設置の目的が「効率的かつ効果的」(地方独立行政法人法第2条1項)といったことに過度に偏っている問題が指摘される。「効率的」とは、すなわちコスト削減を意味し、固定経費の多くの部分を占める人件費のカットがその目的であることは疑いようのない事実である。私たち県職労が、地方独立行政法人化に反対する理由の第一は、この点にある。

県の組織が地独法化する場合、そこに勤務する職員は県を退職して法人職員になるか、もしくは県職員の身分のまま法人に派遣されるかのいずれかを選択することを迫られる。前者を選択した場合、法人の経営が将来破綻した際には当該法人に勤務する職員は身分を失うことになる。これが、地独法化に反対する第二の理由である。

その他、地独法に移行すれば法適用が異なることとなるため、当該法人の職員で構成する組合は別組織となり、運営面で支障を来すことになる。これが、第三の反対理由である。

以上見てきたように、私たち職員及び労働組合にとって地独法化のメリットはほとんど認められない。そもそも、地方公共団体が提供するサービスについて、「公共性」と「経済性」とは両立し難いのである。公共サービスを提供するために必要なコストを、各自治体はしっかり確保しなければならないと考える。

お詫びと訂正


前回E号で、「フォローしていく」は、「フォローさせていく」の誤りでした。お詫びして訂正します。

 その8 組織再編を考える

四月人事異動に伴う例年の騒ぎもようやく収まってきた。退職者と新規採用者の差は職場要求交渉時に二八〇人と報告したが、駆け込み退職や採用辞退で331人の減となった。
  
 この削減の影響はどこに出ているのだろうか。地方機関では、一部を除いて大幅な削減は見られない。なぜなら今年度地方機関の再編統廃合が検討されているからである。削減は県庁と外郭団体で主に行われたようである。
  
 県庁各部の総務課では経理担当が三〜五人削減されている。全部局をあわせると相当な数となる。人事当局に質すと。財政課が予算決算の簡素化を打ち出したことによるとのこと。業務縮減の効果も出ないまま人員削減を先取りした構図である。五月の決算段階で早速混乱が生じるのではないかと危惧する。一〇年前の行革の折、工事業務担当者に病欠者や退職者が続出した苦い経験が忘れられない。二度と繰り返してはならない。
  
 地方機関の再編は六月上旬に案を示すべく作業が進められている。組合本部でも各支部を回って組合員の意見を集めた。意見の多くは総合事務所化による不合理や二重手間への不満である。所属長権限を昔のように強化せよとの意見もあった。

差押え物件の処分は県民局経理課の決裁が必要であるが、決裁の際に経理課長が県税事務所の判断内容に口を挟む。伝染病対策の責任者は保健所長であるが、医師でもある所長の判断を、部長や局長が覆そうとする。これは触法行為である。工事入札は、設計書の決裁終了後早くても一ヶ月はかかる。単独事務所の頃は今よりは迅速に行えた。

地方機関の組合員は県民とじかに向き合っている。その中でこれだけの仕事が必要として、それに見合う人と事務所の配置を要求している。事業所や支所が統廃合されれば現地業務のための移動時間が増える。一方で形だけ事務所を残しても来庁者の要請に応えられない貧弱な体制ならば、これはこれで非難を受ける。

当局はカネに見合ったサービスと配置を目論んでいる。しわ寄せは地方機関職員と、周囲に暮らす県民である。


その9 病院構造改革推進方策等の見直し(bP)


現在、病院局において新行革プラン第二次案とともに、「病院構造改革推進方策(改訂版)」「県立病院改革プラン(仮称)」の検討が進められている。第一次案交渉において、「H15年に策定した病院構造改革推進方策を、中長期的な環境変化を見据え、これまでの取組状況及び成果について検証を行っている。県立病院改革プランは、推進方策を具体化するため、県立病院の役割、提供する医療内容や医療機能を記載し、策定していきたい。」と考え方が示された。検討項目の中で、地独法化等の課題(Fで「反論」記載)は言うまでもないが、「経営改革の推進内容」は特に看過できない。この検討にあたっては、総務省が07.12.24「公立病院改革ガイドライン」(指針)を公表し、各自治体に通知したが、この動きと切り離すことはできない。通知の背景には、国の公的医療の解体政策があることは間違いない。一つは、政府が「骨太方針2006」で地方自治体の人件費と医療・福祉予算の大幅圧縮を示し、「骨太2007」でその具体策として、財政的ペナルティなどをちらつかせ、08年度中に「ガイドライン」に沿う形で「公立病院改革プラン」策定を各自治体に強要している。もう一つは、昨年4月に創設された「社会医療法人制度」である。この制度は、民間医療機関がこれに移行した場合、救急やへき地医療といった不採算医療を義務づけられる一方で、税制上の優遇措置がされるのである。まさしく、医療における「官から民へ」の誘導策と言える。

「ガイドライン」は、自治体立病院間、自治体立病院と日赤などの病院を統合縮小することにより、@病床を削減し、総医療費を抑制すること、A自治体職員の数と人件費を大幅に削減することをねらいとし、そこには医療を金儲けの手段として考える資本の意図が垣間見える。具体的には、次の3つの視点と一般会計負担の考え方を明記するよう指示している。@経営効率化(3年を標準に改善)A医療機関の再編・ネットワーク化(5年程度)上記@Aと関連づけ、5年を目安に経営形態の見直し(公営企業法全部適用、独法化、指定管理者制度、民間移譲等)を提示している。

多くの公立病院の経営悪化に対し、基本的対策を講じることなく、経営改革のみに傾斜をすれば、結果として地域医療の崩壊などに拍車をかけることは必至である。病院局に対して、国の医療政策に屈することなく、主体性をもった検討を引き続き強く求めていく。


その10 病院構造改革推進方策等の見直し(No.2)

 
新行革プラン第二次案の策定と併せ、病院局が「病院構造改革推進方策(改訂版)」「県立病院改革プラン(仮称)」の検討を行っている。この動
に県病労・兵従労組は5月9日に要請書を提出、県立病院の県立県営を堅持すること等を病院局に求めた(前号で既報)。

とりわけ、「地独法化等の運営形態の見直しを行わないこと」を要請の第一の項目に掲げ、私たちの強い想いを伝えた。地独法化にメリットが無いことは連載Fで既にふれたが、仮に当局が県立病院の経営の効率化を追求する場合であっても、現行の運営形態のままで、改善すべきことは多くあり、地独法化しなければならない理由は見あたらない。

要請では第二に、「県立病院が果たすべき公共性を確保すること」を求め、公立病院改革ガイドラインに記載のあるような経済性偏重の考え方に釘を刺した。

第三に「医師確保」の課題について、県としても取り得る限りの対策を講じているところであるが、全国的に「勤務医の確保」が困難な中、引き続き最大限の努力と、県立病院の機能強化、県民医療の充実に努めることを要請した。

現業部門については、「これまでの労使交渉の結果を十分に踏まえること」を再度認識し直すことを最後に要請し、行動を終えた。

以上、私たちは病院構造改革推進方策等の見直しに際して、県立病院の県立県営を堅持することを最大の課題として取り組みを強化していく。

公立病院改革ガイドラインではまた、二次医療圏域等の単位での公立病院等の再編・ネットワーク化に関する計画等の策定を自治体に義務づけている。ガイドラインには、民間医療機関が多く存在する都市部の公立病院について、「果たすべき役割に照らして現実に果たしている機能を厳しく精査した上で、必要性が乏しくなっているものについては廃止・統合を検討していくべきである」といった記載が見られる。総務省の考えに従えば、採算がとれる都市部の公立病院は民間に譲渡すべきであるということにもなり、医療を金儲けの手段として考える資本の意図が認められる。

公立病院改革の問題点は、郡部における再編・ネットワーク化だけが問題なのではない。二次医療圏域ごとの自治体単組・病院労組による緊密な連携に基づいた対応が今、強く求められている。



その11 病院行革(No.3)

「公立病院の再編計画・26都府県が策定困難」といった新聞記事が目に飛び込んできた(2008.5.31神戸新聞)。総務省の指導にもとづく公立病院等の再編・ネットワーク化計画について、4月末時点での策定状況が公表され明らかになったもので、21都府県では検討・協議の場の設置にめどが立っていないことも同時に報じられた。

公立病院改革に関わる問題点は、自治体立病院の経営改善を強引に推進しようとする総務省の意図と、地域に必要な医療は赤字であっても確保していかなければならないといった考え方との違いに由来している。私たちの主張は説明するまでもないが、病院の再編・ネットワーク化に総務省が初めとする経営形態の見直しを意味するのでは決してない。不採算の病院を地独法化しても経営が改善されるとは限らず、仮にそうなった場合、法人は解散し、病院事業は譲渡されるか廃止するしかなくなるのだ。そのことのどこが「安定した経営」なのだろうか。地独法への移行そのものが、医師・看護師の離職につながり、患者の流出につながるといった事例がいくつも報告されている。

公立病院改革の問題を突き詰めて考えれば、「自治体立病院の直営方式による地域医療の充実を求める」という考えに行き着く。「真の公立病院改革」を求め、組織の総力を挙げて取り組みを強化しなければならない。

その12 企画部会案(第二次案)に異議あり
 
 「新行革プラン企画部会案(第二次案)」が公表された。私たちは、中心課題である地方機関の再編成が@県民局総合事務所化の不合理・非効率が解消されているか、A地方機関再編案の内容が妥当であるか、B業務の執行方法・業務量と人員配置が見合っているか、といった視点で厳しく追及していく必要がある。

案には、「地域事務所は職員数も少なく、幅広い県民ニーズへの専門的な対応や緊急事態への機動的な対応が困難なことから」と記述されている。職員数を減らして対応できなくしてきたのは当局であり、少人数で県民ニーズに応えようと苦労してきた職員に失礼な話だ。他方、「一定の職員数」があり「専門的な対応や緊急事態への機動的な対応」を行っている事務所(地域事務所)は統合する必要はないことになる。

また、健康環境科学研究センターの見直しに関しては、さきの行革で衛生部門と環境部門とを統合し今日に至っているものを、
今また両部門を分離しそれぞれ別の機関と統合再編しようとする意図が全く理解できない。環境部門を財団法人に移管することは絶対反対であり、職員の身分に関わる問題でもあることから聞ける話ではない。

尼崎病院と塚口病院との統合については断固反対である。塚口病院については、「県立病院の基本的方向」に記載のある内容にそって、引き続き診療機能を向上させ、尼崎病院とともに存続させるべきであると考える。

以上見てきたように、企画部会案(第二次案)は私たちにとって聞くことのできない内容を含んでおり、大いに「問題あり」である。極めつけは、「行財政構造改革の推進に関する条例(仮称)」を制定するとした点である。県政全般にわたる議会のチェックは不可欠であるし、行革に関する報告を議会に対し県当局がしっかり行えば良いと考えるが、そのことを条例化し議会で議決しなければならない必要性が認められない。仮に案に記載のとおりになるとすると、今後、労使協議のあり方に影響が出るのではないかということを大いに危惧する。企画部会案は決定されていかなければならない。



その13 公設研究機関の果たすべき役割

 健康環境科学研究センターの見直しについては、前回にも触れたが、改めて強引な方法について考えたい。
前回統合に際しては「人と環境に関わる試験研究等を一体に取り扱う」として設置した。これが、7年間にどれだけ変わったのか?単に総務事務の集約だけが目的だったのか

年度には基本構想の策定も予定されていたがその際にも健康と環境を一体的にとらえた研究機能の充実がうたわれていた。(策定については見送られたが)
今回の案では、分離して別々の組織と統合再編するという『健康生活科学研究所』(仮称)は、生活科学総合センターと健環研の衛生部門を統合する理由として中国産冷凍餃子事件等県民のくらしの安全・安心に直接関わる事件が相次ぐ中で健康への影響に対する関心が高まってきているとして


@食品、医薬品、飲料水等による健康被害など消費生活における課題への一元的対応が可能になる。
A高度な分析能力の活用で、商品のテスト機能の充実が図れる。
B試験分析結果や研究成果を消費生活関係機関のネットワークを活用し、消費者に情報発信して、被害の防止に資する等、統合しなくても連携を強化すればよい 理由しかない。
なおかつ、当面は移転整備を行わず、機能的な統合を進めていきたいとういう。これでは、前回の行革で健環研を創設したときと同じことであり、総務事務集約の意味しかない。そうであるならば、健環研全体との統合の方が、まだましな提案であるといえるかもしれない。


 
環境部門については、「協会が同等の検査分析の設備・機能を有しており、機能の一体化を図ることで、地球環境問題への取り組み拡充が可能となる」として業務移管を行い、ほとんどの業務をそのまま県からの委託を受けて実施する、研究員等も今後の協会との協議が前提ではあるが、公益法人等派遣法に基づく派遣を行うことを考えているという提案である。
これは、一番短時間で運営形態を変えられる方策として東京都が行った方法と同じである。地独法化、指定管理者制度、PFIによる庁舎管理業務の分離、外郭団体への移管等の中で手続きが簡単で、国の関与もなく、定数削減の当局メリットもあるが、試験研究機関の果たすべき役割を否定する方法であり、最も将来のことを考えていない手法と言わざるを得ない。



その14 県民意識とのギャップのなかで

 85日神戸新聞アンケートで56%が新行革プランを知らないと報じられた。2次案は組織見直しが焦点である。県職労では事務所の存廃をめぐって連日激しい交渉をしている最中でのこのと。ショックでもあり、一方でわかる気もするところでもある。

市町と違って一般の人が日常の中で県の事務所に行くことはそうあるものではない。一度も行かずに生涯を過ごす人もいるだろう。だから関心は低い。では県の出先事務所は集約してさらに遠い存在になってよいのか?公的サービス全てが市町窓口で完結する訳ではない。市町規模に応じて県で補完しているものも多い。県の補完機能である。専門性の高い農業改良普及業務は、県が担っており普及員は連日農家を回って指導にあたっている。県の高度専門性確保機能である。県立試験研究機関も同じ。市町界を越える河川や県道は土木事務所で管理している。県の広域行政機能である。日頃は親しみのない事務所

でも都賀川の増水事故のように何かが起これば、途端に焦点が当てられ、連日事務所の挙動が報じられる。県民生活の大事な部分を支えている自負は職員全員が抱いている。

県民の関心が低いことは、委員会やパブコメも含め、外部からの風で案が翻る可能性は低いと言うことである。県民サービス維持を求めてたたかうのは労働組合だけかも知れない。組織の問題は職員の理解と納得抜きにはなし得ない。組織を間違うと職員に犠牲者が出る。だからこそ我々が意地とプライドをかけて県当局と対峙している。

逆に議会やマスコミの関心が高いのは公社・外郭団体である。企画部会案に対し「手ぬるい」との指摘。国では普及啓発といったソフト事業を隠れ蓑に天下り目的の団体も見受けられる。県の外郭団体では、むしろ施設管理などハード系の団体も多く、世論のイメージとはやや違う。高度成長時代など行政ニーズが急激に高まる中、定数管理の厳しい職員を増員せずに要請に応えるために、アウトソーシングの手法として外郭団体を設立してきた経過がある。そこではプロパー職員を多く雇用して、県行政の一端として実務を担わせてきた。見直しや廃止はプロパー職員の雇用労働条件に直結し、安易な見直しには反対である。では県は公社を介して世間の指摘を受ける様なことはしてこなかったか?「外」からの指摘に過敏に反応している姿からは邪推も生じかねない。


その15 塚口病院・尼崎病院の統合を考える

 兵庫県は今年7月に公表した「行財政構造改革プラン企画部会案(第二次案)」の中で、「高度専門・特殊医療をさらに充実させるため」などとして、4年後に塚口病院を尼崎病院に統合・再編する案を提案した。
 

塚口病院は、小児医療を充実するとして、2年前に多額の費用をかけて改修を行った。一方、利用者の多かった呼吸器、脳神経外科を尼崎病院に移管し、ベット数を100床減らした。
 一般診療を縮小し、また少子化が進む中、小児医療に力を入れることで、財政的にもよくならないことは、病院局も当初から分かっていたはずである。

  そして、新体制を稼働させてからたったの1年余りで病院を廃止提案するとは、あまりにも無責任である。 
新行革プラン推進方策(第二次案)において、「外部委員会の設置による検討」を追加し、「尼崎病院に隣接して整備」という文言は削除したものの、「統合」方針は変わらない。
新体制が稼働して1年余りでの方針転換について、交渉で質したが、「医師の確保が困難である」などとして、当局は統合案の撤回を受け入れようとしない。

塚口病院の利用状況は、前述の2科が尼崎病院へ移管以降、利用者が若干減少しているものの、約19万人の外来患者と、入院患者は9万人にのぼり、小児医療・周産期の利用者は以前より増加 している。
 

 また、利用者の約3割は高齢者であり、この人たちに「尼崎病院を利用して下さい」と言える状況にない。
8月18日には、地元尼崎市長・市議会から「市民の利用率が高い」として、「意見書」も提出された。 尼崎市に市民病院がない中で、塚口病院がその役割を担っていることから、当然の意見書とい  える。8月中旬から、両組合は自治労県本部の協力も得ながら、「塚口病院の廃止に反対しましょう!」と、塚口病院前、阪急・JR塚口駅前でのビラ配布と、地域ビラ配布行動に取り組んだ。

 住民からは、「職員さんが存続へ向け頑張ってくれるのは有り難い」など、数多くの激励を受けた。
今回の統合案は、「公立病院改革ガイドライン」に基づいていることは間違いない。
今後、策定が予定されている、「病院構造改革推進方策(改訂版)」「県立病院改革プラン(仮称)」等、地域医療を無視した政策に対し、私たちは、職員の労働条件の切り下げや患者サービスの低下に反対し、「直営方式による地域医療の充実」を求め、組織の総力を挙げてとりくまねばならない




その16 管理運営事項か労働条件か
 912日、第3回行革本部交渉において、新行革プラン2次案による組織再編案に一応の区切りをつけた。この間、44回に及ぶ各部交渉を経ての決着である。職員の「理解と納得」が大前提として各交渉に区切りをつけてきたが、実感として腹に入らないことの方が多い。

当局は、政策方針としての計画であるため管理運営事項であると主張する。組合は労働条件に大きく関わるため交渉課題であると一貫して主張してきた。大規模な事務所統廃合案が固まってしまってからでは交渉余地はほとんどなくなる。

行革は職員の理解と納得なしには進められないだろ」これは当局も認めざるを得ない。「そのためには職員に説明を尽くすべきである」として説明・交渉がスタートした。これは8年前の前期行革の際の議論である。ここに「理解と納得」という考え方が生まれた。管理運営事項と労働条件が重なる領域で「あくまで労使合意前提で進める」とのコンセンサス形成であった。今期はさらに公表前から事前要請や申し入れ行動などとりくみ時期を早めた。

交渉経過から見るに、新行革プランは、トップの強い意向による原案に対して各部局の意見で修正が加えられて公表された。その後、議会やマスコミの反応、パブコメ、労使交渉などを経て案を固めていくスタイルと伺える。

各部交渉を担当する部局にとっては「押しつけられ感」も見え隠れする。しかし案が具体に実行されれば業務執行責任は部局にある。我々は当局責任をとらせていかねばならない。

交渉で矛盾点を指摘され案の修正を求められても、部局と行革本部の間では一度協議済み案件であるため、「蒸し返し」に対する上層部の抵抗が強い。このため交渉を踏まえての修正協議は時間を要した。交渉を重ねるも回答が変わらずイライラしたのもこの辺りに一因がある。険悪なムードは部局にも危機感をつのらせた。

9月議会提案という最終期限は当局都合である。組合があわせる必要はない。しかし最終期限に向けて当局が、労使合意をめざして、ぎりぎりの譲歩を示す局面でもあった。それが無理な日程設定と連夜の徹夜交渉ともなった。

交渉は一つのヤマを越したが「今後、課の体制など執行体制について引き続き協議していく」確認をした。舞台を変えて行革交渉はまだまだ続いていくのである。